「起立性調節障害には鉄分が良い」って本当?サプリメントでは吸収率が悪い理由と、正しい鉄分の摂らせ方
「病院の検査で『貧血気味(鉄分不足)』と言われ、鉄サプリを飲ませているけれど一向に朝起きられない」 「ネットで勧められた鉄サプリを飲ませたら、子どもが『胃がムカムカする、気持ち悪い』と訴えて、余計に食欲が落ちてしまった……」
起立性調節障害(OD)のお子さんを持つお母様にとって、「鉄分補給」は食事改善のファーストステップとして一度は試す、あるいは今まさに悩んでいるテーマではないでしょうか。
ネットやSNSを開けば、「ODの子はフェリチン(貯蔵鉄)が足りていない」「鉄分サプリを飲めば朝スッキリ起きられるようになる」といった情報が溢れています。そのため、藁にもすがる思いでサプリメントを我が子に飲ませている親御さんも多いはずです。
まず最初にお伝えさせてください。 起立性調節障害のお子さんの身体をつくる上で、鉄分が極めて重要な栄養素であることは事実です。しかし、だからといって『市販の鉄分サプリメントを無理やり飲ませる』のは逆効果になるケースがほとんどです。なぜなら、自律神経が乱れて胃腸が弱っているODの子の身体は、人工的なサプリメントの鉄をほとんど吸収できないどころか、胃腸を内側から荒らす原因になってしまうからです。
今回は、なぜサプリメントでは鉄分の吸収率が悪くなってしまうのかという医学的・東洋医学的な理由と、我が子の身体を傷つけない「本当に正しい鉄分の摂らせ方」をお伝えします。
① なぜ?弱った胃腸に「鉄サプリ」を飲ませても吸収率が悪い3つの理由
「血液検査で鉄不足って出たんだから、サプリで補うのが一番手っ取り早いはず」とお母様が思うのは当然のことです。しかし、ここに大きな落とし穴があります。
1. 鉄分は、そもそも人間の身体が「最も消化しにくい」栄養素だから
鉄という物質は、人間の胃腸にとって非常に消化・吸収のハードルが高い栄養素です。サプリメントのような人工的に凝縮された鉄分子が体内に入ってくると、それを分解・吸収するために胃腸はフルパワーで働く必要があります。 しかし、起立性調節障害のお子さんは自律神経の乱れから、胃腸の働きが「冬眠状態」にあります。そんな弱り切った胃腸に強いサプリメントを流し込んでも、吸収されることなくそのまま素通りするか、胃の粘膜を刺激して激しい胃痛やムカムカ(吐き気)を引き起こしてしまうのです。
2. 腸内環境が悪化し、悪玉菌のエサになってしまうから
胃で正しく吸収されなかったサプリメントの余分な鉄分は、そのまま大腸へと流れ着きます。実は、鉄分は大腸にいる「悪玉菌」の大好物です。 吸収されなかった鉄サプリのせいで腸内の悪玉菌が爆発的に増えると、お腹が張る、便秘や下痢を繰り返す、便が真っ黒になって悪臭を放つ、といった腸内環境の崩壊を招きます。「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの大半は腸で作られるため、腸が荒れると、お子さんのメンタル(朝のやる気や気分の落ち込み)までさらに悪化してしまうのです。
3. 東洋医学の視点:「血(けつ)」を生み出す工場が止まっているから
東洋医学では、鉄分や血液のことを「血(けつ)」と呼びます。血は、ただ材料(鉄サプリ)を口から入れれば自動的に増えるわけではありません。材料を受け取り、体内で使える形に加工する「脾胃(ひい:胃腸の働き)」が元気であって初めて、生きた血液へと生まれ変わります。 工場(胃腸)の電気が消えて止まっているのに、外から材料(サプリ)ばかりを大量に送りつけても、倉庫にゴミとして積み上がるだけで、身体を動かすエネルギーにはなってくれないのです。
② 胃腸を壊さずに元気を作る!正しい鉄分の摂らせ方「3つのルール」
では、サプリメントに頼らず、どのようにお子さんの鉄分を補っていけばよいのでしょうか。自律神経と胃腸に優しい、本当に正しい鉄分の摂らせ方のルールをご紹介します。
ルール1:「ヘム鉄」を含む動物性食品を、スープに溶かして摂る
鉄分には、お肉や魚に含まれる「ヘム鉄」と、ほうれん草やひじきに含まれる「非ヘム鉄」があります。吸収率は動物性の「ヘム鉄」の方が圧倒的に高いです。 とはいえ、アサリやレバー、赤身肉をそのまま食べる体力が胃腸にない場合は、「アサリのスープ」や「手羽元をホロホロになるまで煮込んだスープ」を作ってあげてください。スープに溶け出した天然のヘム鉄やアミノ酸は、胃腸に一切の負担をかけず、最も高い吸収率で子どもの身体に染み渡っていきます。
ルール2:「ビタミンC」と「クエン酸」をセットにする
鉄分は、単体よりもビタミンCやクエン酸と一緒に摂取することで、体内への吸収率が数倍に跳ね上がります。 お肉や魚のスープにレモン汁を数滴絞る、梅干しを添える、食後に少しのキウイやイチゴを食べるといった工夫をするだけで、少ない食事量でも効率よく鉄分をキャッチできる身体になります。
ルール3:調理器具を「南部鉄器」や「鉄タマゴ」に変える
これが最も手軽で、胃腸を絶対に痛めない最強の裏技です。 毎日のお味噌汁を作るときや、お茶を沸かすときに、「鉄瓶(南部鉄器)」を使ったり、お鍋の中に市販の「鉄タマゴ(鉄の塊)」をポンと入れておくだけで、お湯の中に微量の「二価鉄」という、人間の身体が最も吸収しやすい形の天然の鉄分が溶け出します。 サプリメントのような急激な変化はありませんが、毎日の生活の中で「お腹を絶対に壊さない優しい鉄分」を確実に、コツコツと補給し続けることができます。
③ 整体の視点:栄養を入れる前に、まず「胃腸の血流」を呼び起こそう
「どんなに食事を工夫しても、そもそも朝も昼も食欲がなくて何も食べてくれない」 「少し食べただけで、すぐにお腹を壊してしまう」
もしそのような状態であれば、それは食事の内容や栄養素の問題ではなく、「胃腸に血液を送り届ける自律神経のスイッチが、骨格の歪みによって物理的に遮断されている」というサインです。
起立性調節障害で鉄分が吸収できないお子さんの身体を詳しく診ると、共通して「骨盤が後ろに倒れ、背中が丸くなり、お腹(内臓)を上からギューッと押し潰すような姿勢」になっています。
この姿勢のままだと、内臓全体の血管が圧迫され、胃や腸が完全に冷え切ってしまいます。冷え切って動きが止まった胃腸にどれだけ栄養を入れても、吸収できるはずがありません。
当院の施術では、この崩れて固まった骨盤や背骨の歪みを優しく整え、内臓にかかっている物理的な圧迫を解放します。 骨格のブレーキが外れると、お腹周りに温かい血液がドクドクと巡り始め、「何を試しても胃がムカムカして鉄サプリが飲めなかった子が、施術を重ねるうちに自然とご飯をモリモリ食べられるようになり、顔色がみるみるピンク色に変わっていった」という、根本からの回復劇が動き出すのです。
焦ってサプリを詰め込むよりも、まずは「吸収できる土台」から
「フェリチンの数値を上げなきゃ」「早く鉄を飲ませなきゃ」と、お母様が焦ってサプリメントをお子さんの口に運んでしまう気持ちは、本当に本当によく分かります。
ですが、子どもの身体は、機械のように栄養を入れればそのまま動くという単純なものではありません。 大切なのは、「何を摂るか」ではなく、「それを笑顔で、美味しく吸収できる身体の土台が整っているか」です。
焦りのボトルを一度置いて、毎日のお味噌汁や優しいスープから、その子のペースで一歩ずつ進めていきましょう。
当院のLINE無料相談では、
- 「今の我が子の胃腸の状態で、どんな食事から始めたらいい?」という具体的な栄養相談
- 東洋医学に基づいた、子どもの胃腸の働きを自宅で活発にするための「背中のセルフケア」
など、日々の習慣に関するリアルなご相談にいつでもお答えしています。
焦らず、まずはその胸にある不安を、私に聞かせてくれませんか?

