新起立試験とは?起立性調節障害の代表的な検査をわかりやすく解説

「子どもが起立性調節障害かもしれないと病院で言われ、『新起立試験』という検査を勧められたけれど、一体どんなことをするの?」

「痛い検査や怖い検査だったら、ただでさえ体調が悪い子どもが耐えられるか心配…」

「新起立試験を受けると、何がどこまで分かるんだろう?」

お子さんの朝の不調や立ちくらみが長引き、いざ病院を受診する段階になると、これから行われる検査に対して不安や緊張を抱く親御さんはとても多いものです。特に「試験」や「検査」という言葉は、子どもにとっても大きなプレッシャーや恐怖心を与えてしまいがちです。

結論から申し上げますと、新起立試験は注射や採血を伴うような「痛みを伴う検査」ではありません。

横になった状態と立ち上がった状態での「血圧」や「心拍数」の変化を安全に測定し、自律神経がきちんと働いているかを科学的に見極めるための、起立性調節障害の診断には欠かせない非常に重要な検査です。

この記事では、新起立試験の具体的な目的や検査の流れ、測定する項目、そして判定される「サブタイプ(症状のタイプ)」の基本について、専門知識をわかりやすく紐解いて解説します。

Contents
  1. 新起立試験とは?起立性調節障害を診断する代表的な検査です
  2. 新起立試験はどのように行われるのでしょうか?
  3. 新起立試験では何を測定するのでしょうか?
  4. 新起立試験は痛みのある検査ですか?
  5. 新起立試験でわかるサブタイプとは?
  6. 新起立試験だけで診断が決まるわけではありません
  7. 保護者が検査前に知っておきたいこと
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ

新起立試験とは?起立性調節障害を診断する代表的な検査です

まずは、新起立試験がどのような目的で行われる検査なのかを整理しておきましょう。

【H3】新起立試験の目的

新起立試験は、日本小児心身医学会が作成したガイドラインに基づき、起立性調節障害(OD)を正確に診断するために確立された標準的な検査法です。

  • 血圧や心拍数の変化を調べる: 横になっているときと立ち上がったときで、血圧や心拍数がどのように動くかを測定します。
  • 起立時の自律神経の働きを評価する: 立ち上がった際、重力に負けずに脳へ血液を送り届けるための「自律神経の働き(調整力)」が正常に機能しているかを調べます。
  • 診断やサブタイプ分類の参考にする: 検査結果のデータパターンをもとに、起立性調節障害のどのタイプに当てはまるかを細かく分類します。

なぜ新起立試験が必要なの?

「朝起きられない」「午前中にだるそうにしている」というお話(問診)だけでは、起立性調節障害と確定診断することはできません。

自律神経の乱れによる血圧低下なのか、あるいは脳や心臓など他の重大な病気が隠れているためなのかは、実際に「体に負荷(起立)をかけた状態の数値」を測定しなければ判別できないからです。

新起立試験を行うことで、他の病気と区別(鑑別診断)しながら、その子の体の特徴に合わせた最適な治療方針を決めることができるようになります。

(関連リンク:[起立性調節障害の検査・診断|適切な治療へつなげるための第一歩])

新起立試験はどのように行われるのでしょうか?

検査そのものは、非常にシンプルで静かな環境で行われます。

検査前の準備

検査室に入ったら、まずはリラックスすることが大切です。

ベッドに横になり(仰臥位:ぎょうがうい)、血圧計や、必要に応じて心電図のセンサーなどを装着します。そのまま体を慣らすためにしばらく安静にします。

検査の流れ

新起立試験は、一般的に以下のようなステップで進められます。

① 安静(約10分)
ベッドに横になり、心身を落ち着かせます。
   ↓
② 横になった状態で血圧・脈拍測定
安静時の血圧と心拍数を、正確に3回ほど測定して基準値(ベースライン)とします。
   ↓
③ ゆっくり立ち上がる
看護師や医師の指示に従い、ゆっくりとベッドから立ち上がります。
   ↓
④ 約10分間、立った姿勢(立位)をキープ
立ったまま、壁などにもたれかからずに静かにその場で立ち続けます。
   ↓
⑤ 血圧・脈拍を繰り返し測定
起立直後(1回目)、そして立ち上がってから「1分後、3分後、5分後、10分後」といった間隔で、血圧と心拍数を繰り返し測定します。
   ↓
⑥ 判定
横になっているときと、立ち上がっているときの数値の変化、さらにその間の本人の体調の変化(めまいやふらつきの有無)を記録して判定します。

検査時間はどれくらい?

横になっている時間と立っている時間を合わせて、全体で約20〜30分程度です。

医療機関の混雑状況や事前の説明時間を含めても、1時間以内にはすべて終了することがほとんどです。

新起立試験では何を測定するのでしょうか?

ただ数値を測るだけでなく、検査中は専門の医療スタッフがお子さんの様子を細かく観察しています。

血圧

立ち上がった直後、一時的に血圧が下がるのは健康な人でも起こる自然な反応です。しかし通常は、自律神経が瞬時に血管をキュッと縮めて血圧を戻します。起立性調節障害の場合、この血圧が大きく下がったまま戻らなかったり、戻るまでに非常に時間がかかったりします。

心拍数(脈拍)

脳への血流が減りそうになると、身体は「心臓をたくさん動かして血液を送り出そう」とします。立ち上がった後に、心拍数が異常なほど急上昇していないかを測定します。

症状の変化

数値だけでなく、実際に「立っている間にお子さんがどのように感じるか」も重要な診断材料です。立ち上がっている最中に、めまい、ふらつき、頭痛、冷や汗、気持ち悪さ(気分の不良)などの症状が現れないかを記録します。

必要に応じて心電図

胸に小さな電極パッチを貼り、検査中の心臓の波形を記録します。これは不整脈などの別の原因がないかを同時に確かめるために役立ちます。

■ 新起立試験の測定項目とわかること

測定項目具体的な測定タイミング検査からわかること
血圧安静時 & 起立後(直後〜10分間隔)起立に伴う血圧の低下度合い、回復するまでのスピード
心拍数安静時 & 起立後(直後〜10分間隔)血液量を補おうとする、自律神経(交感神経)の過剰な反応
症状の確認起立中の全時間帯めまい、立ちくらみ、倦怠感、冷や汗などの実際の苦痛度
心電図安静時 〜 起立中起立時の心拍数変化の推移、および不整脈などの有無

新起立試験は痛みのある検査ですか?

「検査」と聞くと、子どもたちは注射や痛い処置を想像して、行くのを嫌がることがあります。お母さん・お父さんから、ぜひ事前にお子さんを安心させてあげてください。

注射や採血はありません

新起立試験そのものは、腕に血圧計の帯(カフ)を巻き、胸に心電図のシールを貼るだけですので、針を刺すような肉体的な痛みは一切ありません。「ただ寝転んで、血圧を測りながら立ち続けるだけの検査だよ」と伝えてあげましょう。

一時的にめまいや気分不良を感じることがあります

ただし、検査のために「調子が悪い午前中に約10分間立ち続ける」必要があるため、人によっては途中でめまい、ふらつき、冷や汗、気持ち悪さなどの症状が強く出てしまう(誘発される)ことがあります。

体調が悪くなったらすぐ医療スタッフへ伝えましょう

検査中は、医師や看護師がすぐそばに付き添っています。もし立っていて気分が悪くなったり、意識がフワフワして倒れそうになったりしたときは、決して無理をして我慢する必要はありません。「気持ち悪いです」「だるいです」とすぐに声に出して伝えれば、検査を途中で中止し、すぐにベッドに横にさせてもらえます。途中で中止になったとしても、そこまでの測定データで十分に診断ができることも多いため、心配しなくて大丈夫です。

新起立試験でわかるサブタイプとは?

新起立試験の結果(血圧と心拍数の動きのパターン)を分析することで、起立性調節障害の「具体的なタイプ(サブタイプ)」を判別することができます。

サブタイプ分類の目的

起立性調節障害は、全員が同じ原因や症状なわけではありません。「血圧が下がりすぎるタイプ」もあれば、「血圧は下がらないけれど心臓がバクバクしすぎるタイプ」もあります。サブタイプを特定することで、その子に本当に合ったお薬や生活指導を選択できるようになります。

起立直後性低血圧(INOH)

起立性調節障害の中で最も多く見られる代表的なタイプです。立ち上がった瞬間にドスンと血圧が大きく低下し、その後もなかなか元の血圧まで回復しません。

(関連リンク:[起立直後性低血圧とは?特徴と効果的な対策])

体位性頻脈症候群(POTS)

立ち上がっても血圧はそれほど下がらないのですが、その代わりに心拍数が異常に急上昇(目安として1分間に115回以上、または安静時から35回以上増加)するタイプです。動悸や息切れ、立っている時の強いだるさが特徴です。

(関連リンク:[体位性頻脈症候群(POTS)とは?心拍数の変化と向き合い方])

神経調節性失神(NMS)

立っている最中に、突然自律神経のバランスが崩れて急激に血圧と心拍数が低下し、目の前が真っ暗になって失神(倒れてしまう)してしまうタイプです。

(関連リンク:[神経調節性失神(NMS)とは?発作が起きたときの対処法])

遷延性起立性低血圧

立ち上がった直後は問題ないのですが、数分〜10分と立っている時間が長くなるにつれて、じわじわと血圧が低下して体調が悪くなっていくタイプです。

※お子さんの具体的なサブタイプごとの詳しい特徴や具体的な対策については、以下の関連記事もあわせて参考にしてください。

(関連リンク:[起立性調節障害の4つのサブタイプとは?特徴と違いを詳しく解説])

新起立試験だけで診断が決まるわけではありません

新起立試験は非常に優秀な検査ですが、このデータ「だけ」で病気のすべてが決まるわけではありません。

問診や診察も大切です

起立性調節障害の診断において最も重要なのは、本人が普段どのような生活を送り、どんなタイミングで困っているかという「臨床症状(生活の様子)」です。「朝起きられない」「午前中に頭痛がする」「午後になると元気が出る」といった、日々の具体的な不調のパターンと新起立試験の結果をすり合わせて総合的に判断されます。

血液検査など他の検査を行うこともあります

受診時、必要に応じて血液検査が行われることもあります。「起立性調節障害だと思っていたら、深刻な貧血や、甲状腺の病気、その他の内分泌疾患だった」というケースもあるためです。新起立試験と同時にこれらの可能性を否定(除外)することも、正しい診断には欠かせません。

(関連リンク:[起立性調節障害は血液検査でわかる?受診時に行う検査の目的])

他の病気を除外することも重要です

朝起きられない、学校に行けないという症状の裏には、睡眠障害(睡眠相後退症候群など)や、心身症、うつ病といった精神的な要因が大きく絡んでいることもあります。多角的な視点でお子さんの状態を見極めるため、医師は慎重に診察を行います。

(関連リンク:[起立性調節障害と間違えやすい・併発しやすい病気一覧])

保護者が検査前に知っておきたいこと

受診や検査の日が近づいてきたら、ご家庭で以下の準備をしておくと、お子さんの不安を和らげ、当日の診察をスムーズに進めることができます。

リラックスして検査を受けましょう

「検査の数値で病気かどうか決まってしまう」「失敗したらどうしよう」とお子さんが緊張しすぎると、それだけで交感神経が興奮し、普段とは違う測定結果(一時的な高血圧など)になってしまうことがあります。

「痛いことは何もしないから、力を抜いてゴロゴロしていればいいよ」と声をかけ、リラックスして受けられるよう安心させてあげてください。

普段の症状を医師へ伝えましょう

診察室に入ると、緊張してお子さん自身が自分の症状をうまく話せなくなることがよくあります。

「いつ頃から始まったか」「朝は何時に起きられるか」「何時頃から体が楽になるか」「立ちくらみの頻度はどれくらいか」など、親御さんがメモにまとめておき、医師に手渡せるようにしておくと非常にスムーズです。

生活記録を持参すると診察がスムーズです

受診する前の1〜2週間程度、簡単で構いませんので「就寝時間」「起床時間」「体調(5段階評価など)」「学校への登校状況」をカレンダーやノートに記録してお持ちください。これが、医師にとって新起立試験の数値と同じくらい価値のある、診断のための最大の武器になります。

(関連リンク:[【チェックシート付】起立性調節障害で病院を受診する前の準備・持ち物まとめ])

よくある質問(FAQ)

Q1. 新起立試験は痛い検査ですか?

A. いいえ、針を刺したり薬を投与したりするような痛い処置は一切ありません。腕に血圧計を巻き、体にシールの電極を貼って、横になったり立ったりするだけですので、痛みを怖がる小さなお子さんでも安心して受けることができます。

Q2. 小学生でも受けられますか?

A. はい、受けられます。新起立試験は小学生から高校生、大人まで幅広く行われている安全な検査です。ただし、10分間静かに立ち続ける必要があるため、主治医がお子さんの年齢や理解度、体力を考慮しながらサポートしながら行います。

Q3. 新起立試験だけで起立性調節障害と診断されますか?

A. 新起立試験の結果は診断の大きな柱ですが、それだけで100%確定するわけではありません。国際的な診断基準(11のチェック項目)への合致状況、普段の生活での症状の様子、および血液検査などによる他の病気の除外(鑑別診断)を経て、医師が総合的に判断します。

Q4. 検査結果はその日にわかりますか?

A. 多くの医療機関では、検査後に血圧や心拍数の変化グラフをその場で解析できるため、受診当日に判定結果(サブタイプなど)や今後の治療方針の説明を受けることができます。ただし、病院の検査体制や追加の血液検査結果の待ち時間などによっては、後日説明となる場合もあります。

Q5. 新起立試験を受けられる病院はどこですか?

A. 主に小児科、小児神経科、思春期外来、循環器内科、または「起立性調節障害専門外来」を設けている総合病院などで受けることができます。一般的な近所のクリニックでも実施しているところはありますので、事前に「新起立試験(または起立試験)は可能ですか」とお電話やホームページで確認・予約することをお勧めします。

(関連リンク:[起立性調節障害は何科を受診すべき?病院選びのポイントを解説])

まとめ

新起立試験は、お子さんの今の体の状態を、数字という客観的なデータで教えてくれる「自律神経の通知表」のようなものです。

結果が出るまでは「重いタイプだったらどうしよう」「学校をしばらく休まなければならないのかな」と不安になるかもしれませんが、むしろ「体調不良の正体が、サボりではなく身体の仕組みの病気である」とはっきり証明されることは、お子さんにとっても親御さんにとっても、大きな救い(スタートライン)になります。

病名やサブタイプがしっかり分かれば、そこから「水分や塩分をどのくらい摂るべきか」「どんな漢方薬や治療が効きやすいのか」という、具体的な回復へのロードマップを描くことができます。

どうか怖がらず、一歩を踏み出すための大切な健康診断として、リラックスして新起立試験に臨んでくださいね。

(当院の施術やサポートについて)

当院では、医療機関で行う新起立試験の診断や治療(薬物療法など)をしっかりとサポートしながら、骨格や背骨を優しく調整することで自律神経のオン・オフ(交感神経と副交感神経のバトンタッチ)をスムーズにする、安全な整体施術を行っています。

「病院で診断はついたけれど、家での具体的なケアや体調の整え方に悩んでいる」「少しでも早く、本来の元気を取り戻して笑顔で通学させてあげたい」とお考えの保護者様は、いつでもお気軽にご相談ください。

(関連リンク)

・[起立性調節障害のセルフチェックリスト]

・[起立性調節障害とは(固定ページ)]

・[起立性調節障害の原因(固定ページ)]

・[起立性調節障害の治療(固定ページ)]

・[起立性調節障害の学校生活(固定ページ)]

・[起立性調節障害は何科を受診する?]

・[起立性調節障害の診断基準とは?]

・[起立性調節障害と間違えやすい病気]

・[起立性調節障害は血液検査でわかる?]

・[病院を受診する前に準備すること]

・[起立性調節障害のサブタイプとは?]

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